異常な博士の希望

異常な博士の希望 一章 義の心 ⑤

ジャスティムスの中は一面が灰色で、球形のコックピットの壁面には等間隔でモニターのつなぎ目らしい格子模様が張り巡らされている。地面にあたる部分は平面の円型で、盾はその中心にぽつねんと立たされていた。 「君を正式にジャスティムスのパイロットとし…

異常な博士の希望 一章 義の心 ④

盾は一瞬、このコペルニクスという男が何を言っているのか意味がまったく理解できなかった。 それで彼は「な、なんて言ったんです」と聞き返していた。 コペルニクスはしゃがんで目線を盾に合わせて、 「このジャスティムスに乗って、あのデスネスと戦ってく…

異常な博士の希望 一章 義の心 ③

どうやらこの物体の名前はジャスティムスといい、何か、敵に狙われうる秘密を有しているらしい。縮んでいる担任教師の横でそう予想をした盾は、 「ジャスティムスというのは、なんですか。適合者って……?」 「ん? 君は……」 コペルニクスは盾の顔を見るや彼…

異常な博士の希望 一章 義の心 ②

「まったく、ひどいことになってしまったな。まさか学校などという場所に墜落してしまうとはな」 その男は、もっとも適切な一言で表現するならば「変人」だった。 小さく丸い眼鏡をかけ、やせ型の褐色の肌にちらほらと生える無精ヒゲ、端正な顔立ちの頭頂か…

異常な博士の希望 一章 義の心 ①

少年はまだ意識のはっきりとしないまま、目を覚ました。 かすかに頭痛の残る頭を手で押さえながら半身を起こすと、状況を一変してしまった教室の様子が一望できた。 まったく惨憺たる有様だ。平和そのものだった教室は半壊し、床には砕けたガラス片やコンク…

以上な博士の希望 プロローグ

いつもと変わらない平和な空だ。 頂点に達するにつれて深みを増していく青空、ちぎられた綿のように白い雲、そんな空の天頂に鎮座し、燦然とした輝きを地に降らせている太陽。 まったく平和そのものといった蒼穹の足元には今日も飽きずに日常のサイクルを繰…

異常な博士の希望 初めに

この小説は、私が二作目に書いた小説です。 一作目は紙(原稿用紙)に書いていたので現存せず、大まかな話しか覚えていなかったので、二作目から載せていくことにしました。 ジャンルは近未来ロボットものです。というか私の書くもののほとんどにロボットが…